のこぎりの「アサリ」ってたまに聞くんだけど何のこと?
あさりって味噌汁に入ってる貝のことだよね?
ほら、寿司屋さんで飲んだ…
アサリっていうのはノコギリの刃の部分の形状のことだよ。この記事で詳しく解説するね。
この記事はこんな方へオススメ
- のこぎりのアサリについて知りたい
- のこぎり木工への理解を深めたい
- 木材の切断面をきれいに仕上げたい
この記事の内容
- のこぎりの「アサリ」とは?
- アサリありとアサリなしの切れ味の違いは?
- オススメのアサリなしのこぎり
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Table of Contents
のこぎりの「アサリ」って何?
のこぎりの「アサリ」とは一言でいうと、のこぎりの刃が左右交互に外側に出ている状態を言います。
漢字で表記すると「歯振」と書いて「アサリ」と読むそうです。
これは木材の切断を円滑に進めるために工夫された技術で、大半ののこぎり(鋸)はアサリありです。
アサリがのこ刃の厚み以上に左右に出ているため、木材とのこ刃の摩擦抵抗が少なくなり、切断がしやすくなります。
のこぎりの刃は下図のようになっています。
板を切断しやすくなる反面、のこ刃の厚み以上にアサリが出ているので、刃の厚み以上に木材が削り取られます。
また切断した木材の表面に細かい傷をつけてしまうデメリットもあります。
一方、アサリなしののこぎりは刃の厚み以上に左右に飛び出していないので、下図のようになります。
きっちりと、のこ刃の厚み分の溝を掘ることができます。
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アサリありとアサリなしの切れ味の違いは?
アサリありとなしののこぎりを3項目で比較しました。
比較の対象としたのは以下の3本です。
写真でいうと上から
・ゼットパイプソーフラット225(アサリなし)
・Mirai α265(アサリなし)
・中屋 名工 M270(アサリあり)
次の4点にて比較しました。
・鋸刃の形状
・切断面の違い
・切断時の挽きやすさ
・ガイドへのダメージ
鋸刃の形状
左がアサリありの鋸刃です。左右に振っているのがわかりますね。
右2つはアサリなしの鋸刃ですが、Mirai α265とパイプソーを比較すると、若干パイプソーは左右に振りぎみに見えます。アサリなしと一言で言っても若干の左右の振りは発生しているものと思われます。
切断面の違い
【アサリなし】α265、パイプソー225
アサリなしの場合は左右に刃が飛び出していないので、切断面はきれいに仕上がります。
また、左右の遊びがないので真っ直ぐに切る精度も高まります。
上の写真では横向きの薄いひっかき傷が少し入っているだけで、木のささくれも少ない。
特にα265(一番上)が優秀で、パイプソーと比較してもきれいに切れているように見えます。前項で確認した鋸刃の左右の振りが影響しているのかも知れません。
【アサリあり】M270
アサリが左右に振っている分、切断面に細かい切り傷が入ってしまいます。
そして左右に遊びができる分、まっすぐに切断する難易度も上がります。
上の写真では荒々しい断面と木材のささくれが多いのを確認できます。
切断時の挽きやすさ
【アサリなし】α265、パイプソー225
のこ刃の厚みと溝の幅が同じになるので、木の間に挟まりやすいです。その分引っ掛かりもあり、アサリありに比べると挽きにくいのは明白です。
また木くずは排出されにくく、刃の間に蓄積されることがあるため、小まめに排出してあげる必要があります。
のこ刃の側面に潤滑剤やろうそくの蝋を塗ると挽きやすくなります。
α265とパイプソーフラット225を比較すると、刃渡りが大きく、安定感のあるα265の方が速く挽けますし、挽きやすいです。
【アサリあり】M270
のこ刃の厚みよりも多く削っていくため、木材にのこ刃が挟まりにくいです。
また、木くずを外に排出しやすいようになっているので、スムーズに挽くことができます。
切断時間はアサリなしのこぎりの半分くらいで可能です。
アサリがあると、「あっさり」と切断できるってことだね!
・・・・・・。
ガイドへのダメージ
私は普段からのこぎりを真っすぐ挽くために、マグネットシートを貼り付けたのこぎりガイドを使用しています。のこ刃によって多少の傷がつくことがあるので、その状態を比較しました。
※「のこぎりで真っ直ぐに切る方法」については以下の記事でも紹介しています。
【アサリなし】α265、パイプソー225 ※写真左
ほとんどマグネットシートを傷つけることなく切断できた。
【アサリあり】M270 ※写真右
マグネットシートに傷が入ってしまいました。
アサリありのノコギリでのこぎりガイドなどを使うと、どうしてもこうなってしまうので、マグネットシートの消耗が速くなってしまいます。
オススメのアサリなしのこぎり
各メーカーから様々な種類が出ておりますが、アサリありと比べると圧倒的に少ないです。
その中でもオススメを紹介していきます。
【MIRAI α265】
アサリなしのこぎりの中で最も刃渡りが大きく、挽きやすいため木材加工用に適している。
上記の比較においてもきれいな切断面であることがわかると思います。
※取扱店舗が少ない
刃の厚み:0.6㎜
刃渡り:265㎜
刃のピッチ:1.75mm
【ゼットパイプソーフラット 225】
塩ビパイプの切断に適したのこぎり。アサリがないので切断面はきれい。
刃の厚み:0.6㎜
刃渡り:225㎜
刃のピッチ:1.5mm
【ライフソークラフト145】
ダボの切断に適した小型ののこぎり。軽量コンパクトなため使い勝手がいいが、刃渡りが短いため長い木材を切断するのは大変。
刃の厚み:0.4㎜
刃渡り:150㎜
刃のピッチ:1.2mm
【レザーソー 細工鋸】
ダボ切りや細かな作業に向いている。厚み0.3mmで細やかな作業に向いている。
刃渡りやピッチが小さい分、分厚い板を切断するのは大変。
刃の厚み:0.3㎜
刃渡り:100㎜
刃のピッチ:1.0mm
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まとめ ~のこぎりのアサリは味噌汁とは関係なかった~
のこぎりの「アサリ」は2枚貝の「アサリ」とは全く関係ありません
諸説ありますが、物と物を交差させることを糾う(あざう)と言ったそうで、それからノコギリの刃を交差させることを「あざり」、「あさり」と呼ぶようになったそうです。
2枚貝のように2つにパカッと開いているからではないみたいです。
この記事の内容をまとめると、「アサリ」とはのこぎりの刃が左右交互に外側に出ている状態を言います。
「アサリなし」のこぎりには以下のメリットがあります
✔ 切断面がきれい
✔ 真っ直ぐに挽きやすい
✔ 直線ガイド等を傷つけない
アサリなしのこぎりはとても便利で高精度な木工には必須なのこぎりです。そのため通常の「アサリあり」のこぎりと使い分けることをオススメします。
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